危険なキス
家に入ると、やっぱり誰もいなくて、
あたしは自分の部屋がある2階に上がる前に、リビングにある薬箱を取り出した。
そして、風邪薬を飲むと、後ろに突っ立っている先生へ振り返った。
「あ、っと……上に上がります」
「ん」
先生は何も言わず、あたしが階段を上がるのを、後ろから支える形で一緒に上がった。
あたしの部屋に入る先生。
ちょっと前までは週に何度も出入りしていたのに、なんだかすごく久しぶりに感じた。
先生は持っていたあたしの荷物を、机の横に置いた。
「なんか、すげぇ久々な感じ」
先生も同じように感じていたのか、懐かしむように部屋を見渡した。
「あんまり、じろじろ見ないでください」
「なんでだよ。もう見慣れてっから」
「そうだけど……」
今日は先生が来るなんて予想していなかったから、ところどころ部屋が散らかっていて恥ずかしい。
あたしは立っているのがちょっと辛くて、ベッドへ腰かけた。