危険なキス
「そういえば、今も家庭教師やってんの?」
「いえ。今は誰も…。母に家庭教師はもういい、って説得したので、近いうちに予備校へ通います」
「ふーん」
なんとなく、湯浅先生以外の家庭教師をつけたくなかった。
だからお母さんをなんとか説得し、これからは予備校へ通うことになったのだ。
「で?着替えねぇの」
手持無沙汰になっているあたしに、先生が当たり前のように聞いてくる。
「着替えられるわけないじゃないですか!先生が目の前にいるのにっ……」
「何いまさら恥ずかしがってんだよ。一度全部見てっから」
「そういう問題じゃありません!!」
これだから、女慣れしてる人の対応は困る。
今まで先生に従ってきたけど、さすがにそれは抵抗した。
「わかったわかった。じゃー、あっち向いてるから早く着替えろ」
「なっ……無理です!もう大丈夫ですから、学校に戻ってくださいよ」
「ダメ。お前がベッドでちゃんと寝付くまでいるって決めてるから」
「無理ですってば」
「早くしろ」
「……」
駄目だ。
断り続けていると、また少し低い声で命令口調になる先生。
あたしは涙目になりながら、仕方なく従うことにした。