危険なキス
 
「もともとお前が悪いことじゃない。
 自分を責める必要も、人を本気で好きにならないようにする必要もまったくねぇよ」

「やめろ……」

「お前はただ、本気で誰かを好きになることが怖くなってるだけだ」

「やめろよっ……」


耳をふさぎ、目を閉じた。


これ以上、俺に許しの言葉なんか言うな。

もし許されてしまえば、俺は絶対に、紫乃を傷つけることになる。


「お姫様。
 誰かに靴、隠されてたよ」

「!?」


その言葉に、閉じていた目を開けた。

雅人は、俺を試すような目で見ている。


「たぶん、今朝の写真が原因で、女子のひがみでしょ。
 いくら自分のクラスを言いくるめても、ほかのクラスや学年の女子はなかなか伝わりにくいからね。
 しばらく、ちっちゃい嫌がらせも続くんじゃない?」


それを聞いて、体がワナワナと震えているのが分かった。


止めないと……

どうにかして、やめさせないと……



「お姫様は、あの子と違うよ」



雅人は、ニコッと笑った。
 
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