闇に咲き誇る桜
ふと後ろを振り返ると、なんでも見透かしてしまいそうな漆黒の瞳が、私をじっと見ている。
夜「あの・・・・。私の顔に何かついていますか?」
斎藤があまりにも俺のことを見てくるので、何かぼろが出たか不安になったが、変わらない表情を向け静かに聴いた。
斎「お前は何を拒絶して・・・そんな寂しそうな瞳をしているのだ?」
どくん
驚いた。
そんなことを聞かれるとは思わなかった。
表情なんて変えてないんだから、大抵の人はまず気づかない。
それに、感情自体とっくの昔に捨てた筈だった。
ましてや本心を悟られるなんて、あってはならない。
だが、悟られた以上誤魔化さなければならないが、斎藤には何を言っても嘘だとばれそうだ。
だから俺は一度薄く笑って見せた後、黙って月を見上げた。
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