君が好きだから嘘をつく
何も知らない楓は英輔に話したことで少し気持ちが軽くなり、もう冷めてしまったカプチーノを飲み干した。
英輔のカップも空になっている。

「楓、この後時間ある?もしよければ飯付き合ってくれない?」

「うん、いいよ。どこがいい?お酒は飲む?」

「飲みたい、まあ昨日かなり飲んだから軽めに」

「じゃあ、すぐそこの炉端焼きのお店でもいい?」

「いいね!よし行こう」

それぞれバッグを持ってお店を出て、炉端焼きの居酒屋に向かった。
本当のおすすめは美好だけど、あのお店は楓にとって健吾と行く特別なお店だから英輔と2人で行く気持ちにはなれなかった。

お店に入るととりあえずビールを注文し、海鮮や串物や野菜を焼いてもらった。
さっきのようなしんみりする話でなく、真奈美と久保くんの2次会・3次会での合コンのような騒ぎになったことを面白可笑しく話してくれて終始笑いながら食事ができた。

あのまま英輔と変わらず友達付き合いできていれば、こんな風に過ごしたのかな?ってちょっと想像した。
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