君が好きだから嘘をつく
悩みの種
最近、考える事がたくさんある。

健吾と伊東さんの事で頭がいっぱいだったのに、ここ最近は来週の日曜日に真奈美の結婚式に行く事へのため息が私の生活に染み付いてしまった。
決して真奈美の結婚式がため息の理由じゃない。
そこに参加するだろう佐山 英輔に会うと思うと、自分の中のいろんな気持ちがザワザワと騒ぎ出す。

昔好きだった人・・・でも今好きなわけじゃない。昔すごく仲よかった男友達・・・でも失恋して今は友達でもない。
そしたらどんな感じで顔を合わせればいいの?

「お久しぶりです」って言うの?それとも「元気だった?」かな。それとも・・・無視??

もうそんなことも分からない位微妙な関係になってしまったというか、私がそうしてしまったんだ。
あ~どうしたらいいのかな。

「楓~どうした?最近ボーっとしたり、よくため息ついてるわね」

咲季先輩が自分の席からイスのキャスターを滑らせながら私のそばまで来て、耳元でささやいた。
ハッと横を見ると、探るような目をして私を見ている。

「時間あるならさ、うち寄って行かない?」

「え?あ、はい。いいんですか?」

「たまには家飲みもいいよね。何か美味しい物買って帰ろう」

「はい」

「じゃあ、早くその報告書終わらせちゃってね~」

そう言いながらまた自分の席までイスを滑らせて戻っていった。
咲季先輩のそんな姿を見るとつい笑ってしまった。
目の前に座っている健吾に見られていたらしく、「どうした?」って聞かれたけど「何でもな~い」って笑ってごまかした。

「何だよ、変なの」

そう言った健吾も気にした感じはなく、また報告書の記入に視線を戻してる。それからとりあえず今日必要な業務だけ終わらせて咲季先輩と会社を出た。
駅前のデパートでちょっと贅沢なおつまみとワインを買って咲季先輩のアパートに向かった。

アパートといっても着いて目の前に見たら、それはお洒落な建物だった。
部屋に入るとそこはまたお洒落な空間だ。1LDKの部屋にやわらかい色合いの家具や雑貨が清潔感も表している。

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