君が好きだから嘘をつく
「先輩素敵なお部屋ですね」

「そう?何か住んでしまうとまた不満が出るけどね。まあ、こんな部屋だけど適当にくつろいでね」

そう言ってテーブルの上に買ってきた料理を皿に並べ始めた。

「手伝います」

私も袋からワインを出して、テーブルの上に置く。

「最初はワインとビールどっちがいい?」

「じゃあ、ビールで」

私が答えると冷蔵庫からビールを4本出してテーブルにビールグラスと一緒に置いてくれた。
あっという間にテーブルの上はおつまみとお酒で埋め尽くされて準備万端だ。

「さあ、座って」

咲季先輩がイスを引いて座るように促してくれる。
私が座り、咲季先輩も向かい側に座ると、ビールをグラスについでくれた。

「じゃあ、お疲れ」

「お疲れさまです」

2人で軽くグラスを合わせて最初の一口を飲んだ。あ~、美味しい。
グラスも冷えていて喉に通るビールが気持ちいい。

「さあ、食べよう」

大きめの取り皿に、サラダ春巻き・きのことチーズのマリネ・アンチョビのキッシュ・ハーブソーセージを少しずつのせて渡してくれた。

「いただきまーす」

まずはマリネから食べてみた。

「美味しい!何かこういうのいいですね」

「そうだね。友達とはこんな感じで飲むことあったけど、楓とはなかったよね」

ビールをグッと飲んだ後、咲季先輩もアンチョビのキッシュにフォークを刺して食べ始めた。
キッシュの味が美味しかったのだろう、オッっと驚きから笑顔の表情になった。

「はい、今日は誘ってくれてありがとうございます」

「いいえ~。しっかしこの料理美味しいね」

2人して暫くお惣菜を食べ比べしてビールを2本ずつ空けた。
どれを食べても美味しくて幸せな気持ちになれた。
咲季先輩が1度立ち上がり、冷蔵庫からお皿に並べられた3種類のチーズを出してテーブルに置き、買ってきた赤ワインを開けてグラスについでくれた。

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