君が好きだから嘘をつく
お店を出ようとした時、佑香に呼ばれて振り向いた。
すぐそばまで来てくれて私の顔を覗き込む。

「楓、大丈夫?英輔とちゃんと話せた?何か泣いていたみたいだったからさ・・」

佑香心配してくれていたんだ。涙も見られちゃったみたいだし。

「うん、ちゃんと話せて英輔から逃げたことも謝ることができたよ。英輔も謝ってくれて、その後仲なおりの乾杯までできたんだよ」

「そっか・・よかった、うん・・本当によかった」

うんうんって頷きながら、涙ぐんでくれている。
本当に心配かけていたんだ。私も胸が熱くなって佑香を思わず抱きしめた。

「佑香ありがとう、心配かけてごめんね」

「いいよ、いいよ。それだけ聞きたかったの。ごめんね、帰るとこ止めちゃって。健吾くんもう迎えにくるんでしょ?」

「うん、もう来ると思う」

「じゃあ行って。また電話するから後でゆっくり話そうね!」

「わかった。佑香もいい感じみたいだし、後で聞かせて。」

さっきまで佑香がいた席を見ながら目で合図すると、へへっと佑香がはにかんだ。

「うん!後で報告する」

「待ってるね、じゃあまたね!」

「うん、またね!」

そう言って佑香はニコニコ手を振りながら、お店の奥へ戻って行った。

そこで健吾がもう到着したか気になって、急いでお店の外へ出た。
何台も車が並んでいるので健吾の車を見つけるためにキョロキョロしながら少し歩いたとこで、後ろから声をかけられた。

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