君が好きだから嘘をつく
「澤田くん、楓の応援しているんだ?」

「してますよ」

意外なほど簡単に答えた。
私の楓を応援している気持ちと、澤田くんのそれとは気持ちが違うと思うけど。

「相談とかも乗っているの?」

「いえ、柚原は一生懸命自分の気持ち隠しているから、悩んでいることも悲しいことも言いませんよ」

「でも、澤田くんには楓のそんな感情がちゃんと見えるんだ」

「さあ、どうでしょう」

澤田くんはフッと笑ってそのまま微笑んだ。

「楓の気持ちはいつ頃知ったの?」

「う~ん、新人の頃ですね」

「そっか・・」

ちゃんと時期的に合っていることに少し驚いた。

「でもさ、澤田くんは今まで知っている素振り全く見せなかったのに、何で突然言い出したの?」

そう・・すごく不思議だった。
彼は常にクールで人に関わっているタイプじゃなかったのに。

「今井さんが大胆に行動し始めたので。それに最近ちょっと柚原が苦しそうかな?って思っていたし、伊東さんに関わったり無理して笑っているから。苦しそうな感じの時があったので、柚原には自分が柚原の気持ち知っていることも言ってしまいました」

「そ~なんだ・・楓驚いていたでしょ」

「そうですね、驚いていましたよ。誰にもばれていないって思っていたはずですから」

その通り。楓の気持ちを知っているのは、私と美好のおばちゃんだけだったはず。
おばちゃんは楓の気持ちを知ってても、健吾にはちゃんと隠してくれているから。

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