太陽と月


スタッフ専用の入り口から披露宴会場の裏に入る

誰もいない真っ暗なその部屋に入るなり、ふにゃふにゃとその場に座り込んだ

その瞬間、込み上げてくるものに視界が歪む




「しゅ...主任...私」

「とりあえず、俺は会場に戻る。瀬川は今回は会場には入るな。ホールの裏でバイトの手伝いを」

「で..でも」

「いいから。話は終わった後でだ」




真っ暗な部屋の中に零れる大西主任の声

顔が見えないからだろうか

その声色が怖い



声を出す事が出来ずに、小さく頷いた私

真っ暗な部屋でその姿が見えたか分からないけど、そのまま大西主任は部屋を出て行った



一気に静寂が訪れる

さっきの光景がフラッシュバックされる



その瞬間、酷い憤りと自分の不甲斐なさに鼻の奥がツンとする




「本当にっ...ドジ!!」



そう言って

一度自分の頬をビンタした
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