太陽と月



その日は、今まで生きてきた中で一番長く感じた




披露宴中は裏で隠れる様に仕事をして

笑顔で去っていく列席者達の背中を影から見送った





「あ...あの」

「ん? どうしたの?」



お客様が帰った後、抜け殻の様になった披露宴会場の片づけをしていると、社員の先輩の姿を見つけて駆け寄った




「大西主任を見ませんでしたか?」

「あ~っと、今支配人と出て行ったかもしれない」

「出て行った?」




不安気に首を傾げた私を見て、どこか気まずそうに笑った先輩

そんな姿を見て、なんだか嫌な予感がする




「もしかして...お客様の...」

「――うん。両家に謝罪に行ったみたい」




ポツリと呟いた私の言葉を聞いて、小さく頷いた先輩

その様子を見て、背筋に冷たいものが流れる



フラフラとその場に崩れ落ちそうな体を必死に支えて、先輩の言葉に耳を傾ける



< 61 / 353 >

この作品をシェア

pagetop