太陽と月
その日は、今まで生きてきた中で一番長く感じた
披露宴中は裏で隠れる様に仕事をして
笑顔で去っていく列席者達の背中を影から見送った
「あ...あの」
「ん? どうしたの?」
お客様が帰った後、抜け殻の様になった披露宴会場の片づけをしていると、社員の先輩の姿を見つけて駆け寄った
「大西主任を見ませんでしたか?」
「あ~っと、今支配人と出て行ったかもしれない」
「出て行った?」
不安気に首を傾げた私を見て、どこか気まずそうに笑った先輩
そんな姿を見て、なんだか嫌な予感がする
「もしかして...お客様の...」
「――うん。両家に謝罪に行ったみたい」
ポツリと呟いた私の言葉を聞いて、小さく頷いた先輩
その様子を見て、背筋に冷たいものが流れる
フラフラとその場に崩れ落ちそうな体を必死に支えて、先輩の言葉に耳を傾ける