太陽と月


先輩には先に帰ってもいい。と言われたけど

私のせいでこんな事になったのに、先に帰るなんてできない



ぐっと唇を噛みしめて、思わず蹲る

何度思い返しても自分のドジさには失望する



あんな大勢の前で新婦さんに恥をかかせて

どう償えばいいんだろう



出口の見えない迷路の中

破裂してしまいそうな胸を押さえて、涙を堪える



すると





真っ暗だった世界に急に眩しい光が飛び込んでくる

見覚えのある車がゆっくりと駐車場の中に入ってきて

静かにエンジンが止まった




そして、現れたのは暗闇でも分かるほどスタイルのいい支配人

そして、その隣を歩く大西主任

カバンを片手で持ちながら、何かを話している



そんな姿を茫然と立ち尽くして見つめる


すると、私の存在に気付いたのか話すのを止めて急にこちらをじっと見つめてきた星野支配人

そんな支配人の視線を追う様に、振り返った大西主任




4つの瞳が私を見つめている



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