闇ノ花


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あれから、山崎が作ってくれたお粥を食べた。


少し塩が混ざった質素な物だったけど、お粥はすごく美味しかった。


そして監視に出かけた山崎。


……対する私は、部屋で寝てろと言われ、大人しくしていた。


だけど……暇だった。


何度寝返りを打っても、なかなか眠れない。


だから、山崎が帰ってくる前に、試しにあの着物を着てみようと思った。


あの時買った着物。


よく考えてみたら、池田屋の事もあり、一度も着ていなかった。


そうでなくても……忍装束を着て、山崎と監視の毎日。


さっさと着て、さっさと脱いで、また眠ればいい。


山崎に見付からなければいいだけの話なんだから。




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