闇ノ花




初めて着てみたけど……似合ってる?


黄色い生地に、白や桃色の小さな花が散りばめられた着物。





「……お前、それ買ったのか」


「わ……っ」





驚いて後ろを見ると、少し笑みを浮かべた山崎がいた。


山崎はやっぱり気配が薄い。


それに……何だか、山崎の後ろに黒いオーラが見えるのは気のせいでありますように。





「びっくりさせないでよ!ていうか、監視行ってたんじゃないの?」


「もう終わった」


「え、早かったね」


「……もう夕刻は過ぎている。それよりお前、寝てろと言ったはずだ」





そう言った途端、こつんと、山崎は私の頭に軽く拳骨を落とす。




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