闇ノ花




「あ、あの……」


「はい?何ですか、芳乃さん」





そう言いながら、伊東さんは怪しく微笑む。


何ですか、じゃないでしょ?


早くその手をどけなさいよ。


私は、唇を噛みながら耐えた。


……気持ち悪い。


何なのこの人……意味わかんない……。


山崎、助けて。


心の中で叫んでも、机や人に遮られていて、遠くにいる山崎に助けの声が届くわけがなかった。


早く自分で何とかしないと……。


考えに考えた末、私は行動に出た。





「い、伊東さん、お酌しますよ」


「あぁ……ありがとうございます」



< 260 / 522 >

この作品をシェア

pagetop