闇ノ花
「あ、あの……」
「はい?何ですか、芳乃さん」
そう言いながら、伊東さんは怪しく微笑む。
何ですか、じゃないでしょ?
早くその手をどけなさいよ。
私は、唇を噛みながら耐えた。
……気持ち悪い。
何なのこの人……意味わかんない……。
山崎、助けて。
心の中で叫んでも、机や人に遮られていて、遠くにいる山崎に助けの声が届くわけがなかった。
早く自分で何とかしないと……。
考えに考えた末、私は行動に出た。
「い、伊東さん、お酌しますよ」
「あぁ……ありがとうございます」