闇ノ花
盃に入れる時に……私は、わざとお酒を伊東さんの膝にこぼしてやった。
ビシャッ!という音と共に、伊東さんの着物には大きなシミが出来る。
「……あっ!すみません!」
私が大きな声を出すと、みんなの視線が集まった。
おろおろして慌てたような演技をし……
伊東さんの手が太ももから離れた隙に立ち上がって、手拭いを取り出す。
ふう……助かった。
この人やっぱり危ないよ……。
早く逃げよう。
それを手渡してから、私は山崎の元に向かおうと踵を返す。
だって、いくら土方さんがこの機会を作ってくれたにしても、やっぱり嫌だ。