闇ノ花




盃に入れる時に……私は、わざとお酒を伊東さんの膝にこぼしてやった。


ビシャッ!という音と共に、伊東さんの着物には大きなシミが出来る。





「……あっ!すみません!」





私が大きな声を出すと、みんなの視線が集まった。


おろおろして慌てたような演技をし……


伊東さんの手が太ももから離れた隙に立ち上がって、手拭いを取り出す。


ふう……助かった。


この人やっぱり危ないよ……。


早く逃げよう。


それを手渡してから、私は山崎の元に向かおうと踵を返す。


だって、いくら土方さんがこの機会を作ってくれたにしても、やっぱり嫌だ。




< 261 / 522 >

この作品をシェア

pagetop