闇ノ花


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「ふぅっ」




女中の仕事は、隊士が増えた事で一気に忙しくなった。


桶に入っている水が冷たい。


じゃぶじゃぶと洗っていると、後ろに気配を感じた。





「……頑張ってるな」


「うわ、山崎⁉」





驚きすぎて、水が跳ねて着物が濡れる。


背中越しに、微かに山崎が笑った気配がした。





「アホだな」


「や、山崎が急に出てきたからだし……」





水で濡れた事なんか気にせず、洗い続けた。




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