闇ノ花





「いいって言ったのに……」


「いや……明日特訓するのに、お前が風邪引いたら困るからな」


「大丈夫なのに……」


「いいから黙って寝ろ」





山崎はそう言うなり、私に背を向けて筆を走らせた。


あ、でも……暖かいな。


凍えてた体が、じんわりと熱を帯びる。





「ありがとう。おやすみなさい」


「あぁ」





ぎゅっと目を瞑り、真夜中になるのを待った。




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