闇ノ花




「芳乃さん」


「はい?」


「……」





沖田さんは少し間を置くと、自分の腰に挿してある刀を抜き放った。


月明かりで、それだけがやけに目立つ。





「一戦交えてみませんか?」


「え……」


「私は刀、貴女はその苦無で」


「……」


「山崎さんと互角に戦ったんでしょう?私ともやってみましょうよ」





沖田さんは刀を構え、私を見据えた。


苦無を懐から取り出し、三つ手に持つ。





「望む所です」





そう言った途端、沖田さんが再び少し笑ったように見えた。




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