後輩レンアイ。

「…ごめんね、考え事して前見てなくて。」

そう言ってから、あたしはにっこりと笑った。
コレで少しは好意を持たれるというものだろう。
自信をたっぷり持ちながら志堂龍太の顔を見る。
すると、予想外の顔だった。

「…なんでそんなに顔しかめてんのよ。」

「や、なんかセンパイが気持ち悪かったんで。」

気持ち悪いとは失礼な。
大体、男は素直でいつも笑顔な子に惚れるんじゃないのか。
コイツは男じゃないのか。

…いやいやいや、それはないだろう。
うん、きっと。

「なんで反抗しないんすか。
センパイなら、もっとひねくれた答えが返ってくると思ったんですけど。」

それはあたしがひねくれてるということか。

「男は素直な子が好きなんじゃないの?
だから素直に謝ってみたんだけど。」

「は?」

「だから、アンタに好かれるために素直に謝っ…」

おい、自分のバカ。
バラしてどうする?!
これは極秘なんだってば。自分でも気付いていたはずでしょ?
ホンットにバカ。
今まで全部ありのままを口にしてきたのが仇になった。
あたし、昔っから隠し事とか嘘が苦手だったんだよね…。


まぁ、それでも《アノ事》だけは必死に隠してきたあたしだから、本当は嘘や隠し事が得意なのかも知れない。

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