一生もんの道化師
だからとりあえず今日の所は最初の一歩が踏み出せれば良いかな、と。
この出来事をきっかけに、これからもうちょっとフレンドリーに話しかけてもらえるようになれれば、それでめっけもんという事で。
我ながら牛歩な恋心だとは思うけど。
欲張って、多くを望んではいけない。
自分自身にそう言い聞かせながら、紅茶とコーヒーをトレイに乗せると、私は高藤さんの元へと急いだ。
「ゴメン。使い走りさせちゃって」
私が室内に入るやいなや、彼がすまなそうに眉尻を下げ、謝罪して来た。
「いえいえ。私もちょうど温かい飲み物が飲みたかったんです。外は寒いですからね~。体温めてから帰らないと。あ、お気になさらず、お仕事続けて下さい」
立ち上がってコーヒーを受け取ろうとした高藤さんを慌てて制し、デスクの端にそっと紙コップを置いた。
「ありがとう」
彼はさっそくコーヒーに手を伸ばすと、二、三口飲んでから再び作業に戻った。
私は高藤さんから見て、右斜め向かいに位置する自分のデスクに戻り、ずっと着こんだままだったコートを脱いで椅子の背もたれにかけてから腰を下ろした。
この出来事をきっかけに、これからもうちょっとフレンドリーに話しかけてもらえるようになれれば、それでめっけもんという事で。
我ながら牛歩な恋心だとは思うけど。
欲張って、多くを望んではいけない。
自分自身にそう言い聞かせながら、紅茶とコーヒーをトレイに乗せると、私は高藤さんの元へと急いだ。
「ゴメン。使い走りさせちゃって」
私が室内に入るやいなや、彼がすまなそうに眉尻を下げ、謝罪して来た。
「いえいえ。私もちょうど温かい飲み物が飲みたかったんです。外は寒いですからね~。体温めてから帰らないと。あ、お気になさらず、お仕事続けて下さい」
立ち上がってコーヒーを受け取ろうとした高藤さんを慌てて制し、デスクの端にそっと紙コップを置いた。
「ありがとう」
彼はさっそくコーヒーに手を伸ばすと、二、三口飲んでから再び作業に戻った。
私は高藤さんから見て、右斜め向かいに位置する自分のデスクに戻り、ずっと着こんだままだったコートを脱いで椅子の背もたれにかけてから腰を下ろした。