聖夜に降る奇跡
風船は小さくなって、夜空に溶けていく。
視線を地上に戻せばその数メートル先には、さっきの僕と同じように空を見上げている女性。
綺麗な横顔と彼女が纏った、どこか寂しげな雰囲気。
彼女から吐き出される白く輝くそれは、空に消えていく。
それがまた、彼女の儚げな雰囲気を助長して、僕は何故か目が逸らせなかった。
彼女もまた、あの男の子が飛ばしてしまった風船を見ているのだろうか……
そう思って見ていると、その女性は僕の方に向きを変え、一歩を踏み出そうとする。
その女性の正面を見た瞬間……ー
街の喧騒は消え、
僕の目は彼女に捕らわれ、そのまま動けない。
彼女は首を少し傾げて、僕を不思議そうに見つめた。
「メ…イ…さん……?」
思わず僕の口からこぼれる。
彼女に届いているのか、いないのか分からないような声だったと思う。
でも、彼女は目を見開いて僕を見つめた。
その刹那、彼女の口は動いた。
「ヨウ…ス…ケ…さん?」
【END】

