Snow mirage
マフラーを首に巻き、そこに鼻まで顔を埋める。
ふわりと柔らかなそれは、ルイと触れ合ったときのように暖かかった。
「温めてくれてありがとう」
風に乗って、背中からふとそんな声が聴こえてきたような気がした。
慌てて振り返るけれど、そこにあるのは雪の積もる白い道とそこに残る足跡だけ。
首に巻いたマフラーを握りしめて息を吐く。
そのとき、チリンと鈴の鳴る音が私の耳に届いた。
はっきりと聴こえたそれは、きっと空耳ではなかったと思う。
―Fin―


