Snow mirage
「もしもし?やっと繋がった。あんたずっと何してたの?昨日の昼間に振られたって一言メール寄越したきり連絡とれないから、心配したんだけど」
捲し立てる友人の声を聞きながら、そういえばそうだったと思い出す。
「ごめん」
友人への言い訳を考えていると、私の目の前を小さな灰色の影がすっと駆け抜ける。
それは素早い動きで公園の向かいの家の塀を飛び越え、小さな鈴の音を鳴らしてあっという間に姿を消した。
「ルイ?」
「え、何?」
ぽつりと溢す私に、友人が怪訝な声を出す。
「サンタが来てくれたのかもしれない」
灰色の影が消えた家の塀を見つめながら呟く。
「は?寝ぼけてる?」
そんな私の呟きを、友人が呆れながら笑い飛ばした。
***
電話を切った私は、不意に襲ってきた冷たい風に身を震わせた。
両腕で身体を抱きしめたとき、手にしていた濃い緑色のマフラーの存在に気がついた。