White X'mas
それからは、目が見えなくなってから離れていた、いくつものことに挑戦した。
散歩、お買い物、通学………
ジョイのおかげで休学していた大学は無事に卒業できたし、今は仕事もどうにかできて、とても充実した毎日を過ごしている。
だけど、この時期は別だ。
私は、お決まりのクリスマスソングの聞こえて来たラジオを切り、バスルームに逃げ込む。
今日は、ジョイと私の”記念日”
だけど、明日は私が”生まれて初めての恋人にフラレた日”、さらに、”視力を失った日”なのだ。
嬉しい記憶と悲しい記憶がいっぺんに蘇り、私の気持ちを少し不安定にさせる。
こんな時、私は頭からのシャワーを浴び、大丈夫、と自分に言い聞かせて、こびりついた悲しい記憶を頭から追い出す。
大丈夫、大丈夫。
もう、あんな悲しいことは起こらない。
だって、私にはジョイがいるし、もう、誰とも付き合うことはないんだから。