冷徹ドクターに甘やかされてます



黙ってエンジンをかけるその横顔には、いつの間にかかけられた眼鏡。

(運転中は眼鏡なんだ、似合ってるなぁ。…あ、芳香剤シトラスの香りかな?いい匂い。煙草の匂いもしないし、吸わないのかな)



「ジロジロ見すぎ」



「え!?」



バレてた!!

どうやら自分で思う以上にまじまじと見てしまっていたらしく、春田先生は呆れたように言う。



「そんなに男の車が珍しいか?」



「男の、っていうか…春田先生の車、が」



「?」



「だって病院以外での春田先生のこと、何も知らないから…いろいろ知りたいなと、思いまして」



「……」



照れながら呟いた言葉に、彼はふっと小さく笑ってはシートベルトをはめた。


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