【短編】イブの夜に抱きしめて
今日はクリスマスイブ。出勤早々、鈴木課長に話し掛けられた。
「おはようございます、鈴木課長」
「おはよう。山田、悪い」
「え、あの……何か」
「予定、あるか?」
「え?」
自分の胸の鼓動が速くなるのが分かった。
予定……。予定……。
「午後の出張、同行願えないか。急で悪いんだが」
「出張、ですか」
「予定があるならいい」
ああ、出張……。仕事の話かとがっくりする自分。
「申し訳ありません。営業販売部で会議があって」
「そうか。じゃあ残業は……クリスマスイブに悪い」
「大丈夫ですよ。打ち込みなら任せてください」
沈んだ気持ちが少しだけ上向きになる。課長と残業なら、それが神様からのクリスマスプレゼントだから。