センチメンタル・シュガー
「な、なんで大和がここに…ていうか、なんでトナカイ?仕事は…なんで…」
「あーもううるさい。とりあえず、こっち」
そして駆け足でやってきたのは、大通りから一本入ったところにある小さな公園
大通りはあんなにもにぎわっていたというのに、ここはひと気もなくいつも通りの静けさだけが響く。
「…ここならいいか」
「ねぇ大和、答えて。何、してたの…?」
「何って…バイト?」
「バイト!?まさか会社クビに…!?」
「違う違う。あそこで働いてる友達の頼みで、ここ一ヶ月くらいだけの期間限定。会社にバレるとまずいから、着ぐるみで」
「あ…だから、」
「色んな店舗回って立ってたんだけど、まさか今日に限って澪の職場の目の前の店舗なんて…嫌な偶然だよ、本当」
「全然気づかなかった…」
「だろうな。あれだけ堂々と男に口説かれてたくらいだし」
「なっ!」
大和ははぁ、と息を吐き出しては近くのベンチにトナカイの頭を置き、着ぐるみの格好のまま腰をおろす。
そんな彼の隣に続くように私も座った