センチメンタル・シュガー



たかがクリスマス。されどクリスマス。



私たちにとってその日は、付き合った記念日ということもあり大きな意味を持つ日。

毎年その日だけはお互い休みを取って一緒に過ごそうって、そう約束した。なのに、当の彼氏・大和は仕事だから仕方ないと平然と言ってのけた。



25歳の私と27歳の大和。

お互い社会人だし、大和は営業マン、私は洋菓子屋の販売員…確かにこれまで連続で休みを取れていたことがラッキーなのかもしれない。

けど。だけど。





「そんなそっけない言い方ってなくない!?」



「……」



迎えた翌日、仕事場である洋菓子屋のスタッフルームでバンッ!と机を叩く私に、このお店のパティシエであり仲のいい男性・徳井さんは話に頷きながら缶コーヒーを一口飲む。



「珍しくクリスマスにシフト入れたかと思えば…だからか。確かに人手足らないから有難いけど」



「だって家に一人でいても虚しいだけだし…」



「付き合って4年、同棲して2年だっけ?」



「うん。…なーんか最近、大和がそっけないんだよね」



元々静かな人、というか落ち着いた感じの人ではあった大和。

けどここ一年くらい、仕事で少し立場が上がってからは本当に仕事が中心で、朝家を出てから帰りは夜遅く。土日の休日出勤だってよくあること。

休みとなれば疲れてるからと寝てることがほとんどだし…おまけにここ一ヶ月は輪をかけて忙しいらしく、毎日帰りは深夜遅く。



これじゃあ、恋人同士っていうか…同居人?


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