センチメンタル・シュガー



「まぁ仕事してるんだし当然だろ。…それだけ毎日遅いのは少しおかしいけど」



「だよね!?徳井さんもそう思うよね!?」



「浮気でもしてるんじゃねーの?会社の女の子とか、取引先の人とか…」



「イヤー!言わないで!想像したくなーい!!」



徳井さんはニヤニヤとからかい半分で言っているのだろうけれど、こちらとしては冗談で済ませられない。

(状況的にありえないとは言い切れないし…)



「でもさ、もう記念日すらも大切にしてくれないって…そういうことなのかなって思っちゃう」



「あー…まぁ、その歳でそれだけ付き合って結婚話も出てないんだろ?おしまいかもなー」



「なっ!ひどい!」



「自分でも言ったようなもんだろ」



「そうだけど…」



「あ、おーい二人とも。そろそろ着替えて店頭立って」



「はーい。ほら、さっさと準備!」



「…はーい」





“二人の記念日”

それすらももう、大和にとってはどうでもいいのかな

そのうち、私のこともどうでもよくなっちゃうのかな

ううん、もしかしたら既にもうどうでも…



(…準備しよう)



考えれば考えるほどめぐる嫌な考えに、溜息をついては仕事にとりかかった。




< 3 / 15 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop