センチメンタル・シュガー
「まぁ仕事してるんだし当然だろ。…それだけ毎日遅いのは少しおかしいけど」
「だよね!?徳井さんもそう思うよね!?」
「浮気でもしてるんじゃねーの?会社の女の子とか、取引先の人とか…」
「イヤー!言わないで!想像したくなーい!!」
徳井さんはニヤニヤとからかい半分で言っているのだろうけれど、こちらとしては冗談で済ませられない。
(状況的にありえないとは言い切れないし…)
「でもさ、もう記念日すらも大切にしてくれないって…そういうことなのかなって思っちゃう」
「あー…まぁ、その歳でそれだけ付き合って結婚話も出てないんだろ?おしまいかもなー」
「なっ!ひどい!」
「自分でも言ったようなもんだろ」
「そうだけど…」
「あ、おーい二人とも。そろそろ着替えて店頭立って」
「はーい。ほら、さっさと準備!」
「…はーい」
“二人の記念日”
それすらももう、大和にとってはどうでもいいのかな
そのうち、私のこともどうでもよくなっちゃうのかな
ううん、もしかしたら既にもうどうでも…
(…準備しよう)
考えれば考えるほどめぐる嫌な考えに、溜息をついては仕事にとりかかった。