センチメンタル・シュガー







「いらっしゃいませー!」



「クリスマスケーキいかがですかー?」



そうして着替えを終えた私は、夕方の人通りの多いお店の前でミニスカートのサンタ姿でケーキの売り子をする。

隣には、同じくサンタ姿の徳井さん



「あー!サンタさんだー!」



「メリークリスマス、はいチョコレートどうぞ」



「ありがとう!」



通りがかる子供たちにはチョコレートを配りながら、今日が売れるピークであるクリスマスケーキを販売していく。



(寒い…)

元々寒がりの私はびゅう、と吹く冬の風に身を縮めたくなるものの我慢しては必死に笑顔を作る。



「俺こんなことするためにパティシエになったわけじゃないんだけど…」



「まぁまぁ、今日くらいは仕方ない」



寒さと慣れない接客から思わず愚痴がこぼれる徳井さんに、苦笑いでフォローした。

その時、不意に目に入ったのは向かいの通りで動く大きな影



「?」



よく見ればそれはトナカイの着ぐるみ。
向かいのカラオケの客引きらしく、可愛らしい顔のトナカイは通る人にティッシュを配り歩いている。

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