夏色の約束。~きみと生きた日々~
「もし俺が死んで、なっちゃんも死んで。俺のお父さんやお母さん、結衣も死んで。俺のことを知ってる人がみんな死んじゃったら、“高岡碧”っていう人間は、この世にいなかったも同然みたいな感じになるでしょ?」
「……うん」
あおちゃんはたまに、今日みたいに難しいことを言う。
いつものなつならこのまま話をスルーしちゃうんだけど、今日の話はなつにもなんとなく理解できそうな気がした。
だからなつは、あおちゃんの言ったことに静かに頷いた。
「俺は将来、命の大切さを伝えられるような人になりたい。教師でも医師でも、なんでもいい。とにかく、命についてたくさんの人に知ってもらいたい、考えてもらいたいんだ」
強く決意のこもったその言葉に、なつの胸が熱くなるのを感じた。
「きっと、病気になった俺にしか伝えられないことがあるはずなんだ。だから俺は病気になったことを後悔してるわけじゃない」
あおちゃんは花火を見上げたまま、そう言い切った。