ド天然!?魔女っ子の秘密
「手加減すんなよ!」

「無理」

「な、即答かよ!」

「うん」

「おい!」


あー、雅人は元気だなぁ。

雅人の大きな声が、あたしと雅人と、観戦席にいる美玲の3人しかいない競技場に響き渡る。


いくら言われても…
手加減しないで戦うことはできない。

この学園の生徒や、あたし以外の魔法使いに対しては、手加減することにしているんだ。

一応あたしは魔物退治屋であって、実戦経験はこの学園の誰よりも積んでるから。

もしあたしが一切手加減しなかったら、雅人は1分もないうちに死んでしまうだろう。

あたしが自分の魔力を10分の1に抑えている今のこの状態でも、ね。



それに、雅人には、美玲がいる。

もし雅人に傷を付けるようなことがあれば、絶対に美玲は悲しむだろう。


そんなこと、させない。

誰も傷つけない。

誰かを傷つけるのは、もう嫌だから…


「行くぞ由良!」

雅人の声で我に帰る。


「どこからでもどうぞ」

あたしは笑顔を作った。


二人とも臨戦態勢に入る。

「じゃあ俺から行くな!」


雅人はそう告げると、深呼吸したように見えた。


…あ、何か来る…

本能的に察知した。
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