【短編】聖なる夜の秘恋
心の内が、火がついたように熱くなった。
でも彼は続けて話す。
「それにやっと今日、これをプレゼントしようとしてたから、あの男に余計腹たった……」
彼は徐にスーツのポケットから、ビロードの箱をとりだした。
そうして、彼はそっとその蓋をあけた。
私はそれを見るなり口をおさえて、か細い声をあげた。
「これ……、本当に……?」
「そうだよ。二十歳の誕生日おめでとう、ユキ。恥ずかしいっていうのはウソだ。ユキが二十歳になったら、正々堂々これをつけるつもりだったんだ」
私は静かにその鉾を受け取って、胸がいっぱいになっていた。
一筋のくぼみに、ふたつのリングが仲良く並んでいるんだ。
ねだっていた私たちのペアリング。
「先生……、ありがとう……。私、バカだった。すごく幸せだよ……」
そう言って、私はギュッと先生に抱きついた。
顔を埋めた胸が優しくてあたたかい。