【短編】聖なる夜の秘恋
なんで、こんなことするの……?
深い口づけをされながら、涙をにじませ、私はありったけの力を振り絞った。
先生の胸を一気に押し返す。
「なんなんですかっ? 先生どうしたの? 怒ってるの?」
やっと解放された唇で、私は声を張り上げて聞く。
泣きながら見つめる先では、先生がばつが悪そうに俯いていた。
そして切羽詰まったような声で言うの。
「怒ってるんじゃない。悔しかったんだよ。ユキが俺以外の他の男に触れられてるのがイヤだった……」
“ユキ”
彼が初めて呼んでくれた私の名前、体がびくりと反応する。
鼓動がどんどんうるさくなるのを感じながら、私は彼をまじまじと見つめた。
「だから、我慢できなかった。ごめんな。大人気ないヤキモチだよ」
彼は私の頭をポンポンと撫でて、恥ずかしそうにそんなことを言う。