【短編】聖なる夜の秘恋


ガラスの向こうで、ビロードの箱に入ったペアリングが煌めいている。

私はガラスにそっと手で触れて、仲良く並ぶペアリングをぼけっと見つめていた。

気づけばガラスには眉根を寄せた子供っぽい自分の顔が映っていて、ドキリとする。

付き合って数カ月だけれど、デートの時彼にねだったペアリング。

だけど、10歳年が離れた彼は子供っぽくて恥ずかしいと相手にしてくれなかった。

やっぱり、まだ未成年の私は彼にとって子供なの?

メイクもファッションも頑張ったけど、ガラスに映った私は背伸びをした子供みたい。

かっこよくスーツを着こなす姿も、豊富な経験から生まれる余裕さも、私には遠すぎる。

ずっと女子高出身の私には彼が初恋なのに、彼にはきっと、他に愛した女性がいる。

こんなペアリングをはめ合った人もいるのかな……?

そんなことを考えるだけで、胸の奥が締め付けられる。

私が彼の彼女でいいのか不安で、涙が溢れそうになるの。


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