【短編】聖なる夜の秘恋
好きな気持ちは誰にも負けない自信があるのに、彼が今までにどんな女性を見つめてきたのかを想像するだけで、心がもやもやする。
そんなことを考えるの自体、お子ちゃまなのかもしれないね……。
そんなんじゃダメだと、ガラスに映る自分を睨みつけて喝を入れた。
今日はずっと楽しみにしていた日なんだ。
余計なことは考えないで、彼と楽しい時間を過ごさなきゃ。
「あれ、君ひとりなの? ねえ、これから一緒に遊ばない?」
突然かけられた声。馴れ馴れしく肩に回された腕。
茶髪の男がニヤニヤと私に笑いかける。
「いえ……、あの、私約束があるので……。はなしてください」
私はその男の手を振りほどいて歩きだそうとするけれど、その腕にたやすく絡めとられる。
「いいじゃん。クリスマスにひとりでこんなもの見てたんだから、強がらなくていいよ」