蜜恋ア・ラ・モード
やっぱり無理。洸太には会いたいけれど、どんな顔して会えばいいのかわからない。
相手は洸太だよ? どうしちゃったの、都子?
もうひとりの私が頭の中で呟くけれど、だったらどうしたらいいのか教えてほしい。
前を向いたまま一歩二歩と後ろに下がると、電信柱に身体を隠す。
何やってるんだろう私。他人から見たら、これじゃあまるでストーカーみたいじゃない。
あははと、情けない笑いが漏れる。
もしかしたら洸太が会社から出てくるかもしれないとしばらく待ってみたものの、中から出てくるのは社員と思われる男の人ばかり。
ここにずっといたって、埒が明かないよね。
とにかく洸太がいるかどうかだけ確かめようと、足を一歩踏み出す。
すると誰かに後ろから、声を掛けられた。
「そこでなにしてるんですか? ……ってお前、都子?」
嘘でしょ!! この声は、顔を見なくたってわかる。間違いなく洸太だ。
まさか後ろから来るなんて、油断していた。なんという不覚。
このまま他人のふりをして逃げようか───
なんて、この状態でにげようなんて、絶対に無理だよね。
洸太のことだから、私が逃げても追いかけてくるはず。そしたらすぐに捕まるに決まってる。だって洸太ってば、昔から足だけは無駄に速かったから。
諦らめて振り向くと目の前にはやっぱり洸太が立っていて。
そしてその後ろには見たことない可愛らしい女性がひとり、怪訝な顔をして私のことを見ていた。