蜜恋ア・ラ・モード

もしかしてその人が、柳川さんの言っていた女性?

どうしてこんな時に遭遇しちゃうわけ?

もう最悪。私って、タイミング悪すぎ!! 

今すぐにでも消えてしまいたい。けれどそうもいかず自称気味に笑ってみせると、洸太にありきたりの言葉を掛けた。


「こ、洸太、久しぶり」

「お、おう、久しぶりはいいんだけど。お前どうしてここにいるんだよ?」

「うん? あぁ……たまたま通りかかっただけって言うか」

「お前がこの道通るって、珍しくねぇ?」


珍しいも何も、洸太の会社に来るとき意外この道を通ることなんて無いっていうの!!

なのに私ったら、すぐバレるような嘘を言ってしまって……。動揺丸見えじゃない。

洸太は私の嘘がわかっているのか、疑いの目を向けている。

やっぱり今日は帰ろう。

このままここにいてもおかしな事ばかりいってしまいそうで、上手く話す自信がない。


「あっもうこんな時間。そろそろ帰らなくちゃ。じゃあまたね、洸太」


時計も確認していないのに、こんな時間なんて。やっぱり今の私はおかしい。

洸太が女の人と一緒にいるところを目の当たりにして、自分の気持ちをどうしていいのかわからなくなってしまった。

洸太の後ろで小さくなっている女性にペコリと頭を下げると、洸太の横を通り過ぎる。


「待てよ」


でもそれは洸太の強い口調と腕に阻まれてしまって、それ以上進むことはできなかった。







< 135 / 166 >

この作品をシェア

pagetop