蜜恋ア・ラ・モード
「大丈夫だから、じっとして」
何がどう大丈夫なのか、私にはさっぱりわからない。
だって私の身体はもうすでに大丈夫じゃなくて、薫さんの執拗な愛撫にのぼせてしまいそうで……。
薫さんの首に腕を回し、姿勢を保っているのがやっと。
でも薫さんはそんな私に気づいてるのかいないのか、そう耳元で囁くと私の身体を片腕で押さえ、腰の辺りを撫でていたもう片方の手はそのまま下に移動していき太腿を撫で始めた。
その間も薫さんの唇は私の首筋を彷徨っていて、時々吸い上げ甘く咬んでは私の身体に鈍い痛みを与えていく。
「あぁっ」
その唇が私の胸の頂きを見つけ躊躇なく吸われると、無意識に大きな声が出てしまった。
彼に触れられているすべての場所が熱く、お湯の中に解けてしまいそう。
「……はぁ……」
ため息にも似た甘い嬌声私の口から漏れ始めると、太腿の内側を撫でていた薫さんの手がそこから離れた。
「都子さん、顔が真っ赤。それは風呂に入ってるせい? それとも……」
右側の口角を少し上げニヤリと笑う顔は、私を弄んでいる証拠。
でも薫さんの意外な一面を知ってしまった今となっては、そんな表情も愛おしくて。
「薫さんのせい」
そんな言葉も、するっと簡単に口から溢れてしまった。
「そっか、僕のせい……か。じゃあ責任を取らなくちゃいけないね。このままここでっていうのも悪くないけど、都子さんの身体も心配だし。ベッドに行く?」
そう言って微笑み私を見つめる彼の顔は、汗で濡れているからか普段より何倍も色っぽくて。
そんな薫さんに、のぼせてしまいそうだった。