四十九日。
49日



「ばかずき!早く起きれー!」

るせー。

「あと2時間…「あほんだら!電車乗り遅れるどころでねえべや!起きれ!」

がばっ。
ばっちーん。

いつもの。

日常。

いつまでも続くと思ってた。

俺がちゃんと早く起きてれば。





電車を降り、しばらく歩いた頃。

「そーいや今日ヤスくん誕生日でね?」

そう、今日、7月1日はヤスの誕生日である。

「おう。プレゼント買っといたし♪」

そう言って青い袋を出してみせる。
多分ヤス忘れてんだろうなあ。
ヤスが欲しがってたチョーカー。にへら。

「まじで~?なっちには買ってけねえのに!」

幼稚園の頃から自分の事なっちとかなちとか言ってる。
性格に似合わねえのいい加減知れ。

「いや俺にも買ってけねっけや」



そこまでは。
ただただ日常が広がっていて。


「はあ?いつも起こしてやってっけ、…やだっ、奏斗に貰ったストラップが…」

かばんを俺の方に振り回した反動で横断歩道に彼氏から貰ったらしいストラップを落とした。
それを拾い上げた瞬間。


パッパー!

信号を無視して突っ込んできたトラック。

「なつき!」

言い終わる前に、俺は走り出していた。


ドンッ。





「…か、ずき…?やだ…っ、かずきーっ!」

横になった世界を見ながら、俺の意識は途切れた。



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