5年目のクリスマス
「くくっ。ここで話をしても注目を浴びそうだから、場所変えようか。
お見合いならお見合いらしく、和食のおいしい店を予約してるから。まあ、クリスマスには洋食の方が合うかもしれないけど、それは俺の愛情でカバーするから」
くすくすと笑いながら、先輩は私の肩を抱いて歩き出した。
ロビーを横切り、エレベーターに向かうその自然な仕草につられるように私も一緒に歩くけれど、どこに向かっているのかわからない。
「先輩、どこに行くんですか?」
「ん?このホテルでおいしいって有名な和食の店。部長が教えてくれた。一応、この見合いの仲人だけど、部長も誰も今日は来ないから二人で食事を楽しもう」
「え?部長も来ないんですか?それって、単なる食事会じゃないですか」
「まあ、細かいことは気にするなよ」
気にするなって……さらっと言い過ぎじゃないだろうか?
お見合いだとか、部長だとか、それをすんなりと受け入れている先輩が信じられない。
私は、部長から、先輩と私ならうまくいくと説得されたという理由でこのお見合いにやってきた。
確かに私が先輩を好きだという、大きな理由もあるんだけれど。
以前振った女とのお見合いだなんて、先輩にしてみれば、迷惑な話だろう。