5年目のクリスマス

恋人だっているのに、それなのに、どうしてこの場に私と一緒にいるんだろう。

部長からこのお見合いを勧められた時、先輩から断って欲しくて

『クリスマスの晩なら、お見合いしてもいいですよ』

部長にそう言ったにも関わらず、先輩はそれを快諾したと聞いた。

クリスマスの日なら、先輩だって恋人を優先するだろうし、断るつもりのお見合いを体面を保つためだけに受けようなんてしないだろうと思っていたのに。

結局、先輩から断ってもらうことはできずに今日を迎えた。

「先輩、わけがわからないんですけど」

肩を抱かれ引きずられるように乗り込んだエレベーターの扉が閉まってすぐ、私は先輩に聞いてみたけれど。

「部長に、俺が頼んだんだ。志奈子と二人で会いたいから段取りをつけて欲しいって。まあ、部長がお見合いなんてことを思いついたのには驚いたけどな」

先輩の言葉に、更にわけがわからなくなった。

「え、どうして私と二人で会いたいなんて」

私の小さな声に、先輩は苦笑する。

「そりゃ、志奈子が好きだからでしょ?俺が志奈子と結婚したいって思ったから部長に頼んだんだ」

「……好き……結婚……」

< 12 / 22 >

この作品をシェア

pagetop