5年目のクリスマス
先輩の言葉が理解できなくて何度か繰り返す。
私が先輩を好き、というのではなくて、先輩が私を好き?
「嘘。信じられない……だって、去年のクリスマスに先輩は」
「ああ。志奈子のネクタイを突っ返して、気持ちを聞く前に拒んだよな」
「そ、その通りです……それなのに、どうして今頃そんな冗談を」
「冗談じゃない。俺が志奈子を好きだって気持ちは昨日今日のものじゃない」
私をぐっと抱きしめた先輩が、苦しげにそう言ったと同時に、エレベーターはチンという音と共に止まり扉が開いた。
「個室を予約してあるから、種明かしはそこで」
そう言った先輩は、前かがみになるように顔を私に近づけ、触れるだけのキスをした。
「せ、先輩……っ」
「今はこれだけで我慢しておく」
先輩は焦る私に構うことなく、私の肩を抱き、歩き出した。
唇に残る熱が私の体全部を支配したように感じた私は、先輩の思うがままについて行くしかなかった。