5年目のクリスマス
* * *
息を詰めるような緊張感。
きっと、私一人があじわっているだけで、先輩は余裕に満ちている。
予約されていた和食のお店は、一歩店内に足を踏み入れただけでその格式の高さを知ることができ、先輩と一緒にいるだけではない別の緊張感もある。
通された和室に向かい合って座り、運ばれてきた料理に舌鼓をうつ。
先輩がおすすめだという日本酒をいただきながら、少しでもこの緊張感がなくなれば、と何度も深呼吸をした。
「先輩、こんな高級なお店、慣れてるんですね」
「ん?ああ。社会人になってからは、親父に連れられて色々と顔を出してるからな」
「親父……社長ですね」
「社長と言う名のタヌキおやじ。温厚そうに見せかけて、あの腹ん中は真っ黒だ。会社の利益になることばかりを考えてる仕事人間とも言える」
笑い声をあげ、手元のお酒を一気に飲み干した先輩は、グラスをコツンと置いた。
その音が、部屋の空気を変えたような気がした。
視線を先輩に向けると、それまでのふざけた様子とはうって変わった真面目な顔。