5年目のクリスマス
小川君にプレゼントを拒否されたのはちょうど去年のクリスマスだったから、勘違いするには絶好のタイミングだ。
それに、会社のロビーで渡さなければ良かったなと、反省。
先輩が誤解しても仕方がない。
あの日、先輩と出張に出る準備も整っていなくて焦っていたし。
「先輩、だからあのネクタイを受けとってくれなかったんですか?拗ねてた?妬いてた?」
くすくす笑う私の首筋に、かみつくように痛みを与える先輩は、思い出したように呟いた。
「あ、俺に恋人がいるって言われてるけど、いないから。告白してきた女に好きな女がいるって断ったらそれがどう間違ったのか恋人がいるって流れたんだ。面倒で否定もしなかったけどな」
「な、なんだ……先輩には恋人がいるって信じて泣いたのに」
「そっか、泣いたか。意外に気持ちいいな。お、おい、叩くなよ。それに、千尋。先輩じゃなく、千尋。結婚しても先輩じゃ変だろ?」
「結婚って、私は、先輩の嫁?それとも、先輩が私の婿?」
「は?そこかよ」
「だって、私の父は簡単に私を諦めるとも思えないし」
一度言い出したら聞かない父のことだ、先輩、いやいや、千尋……のこと、婿に欲しがっているとしか思えない。