5年目のクリスマス
「志奈子が俺の嫁。将来はうちの会社の社長夫人。で、志奈子のお父さんの会社と合弁会社を設立して、俺はそこの社長も兼ねる。志奈子のお父さんは会社の繋がりが強くなって、志奈子を身近に感じられると言って納得してくれた」
「な、なんて単純な」
「ああ。なんて単純で、娘を愛するいいお父さんだ」
「……はあ」
これで全て解決だと私を抱きしめた先輩は、くるりと私の体を回転させ、いつの間にか用意していたダイヤの指輪を私の左手薬指にはめてくれた。
「この5年間の壮大な計画もこれで完結。志奈子があの男に振られたと誤解して、気持ちが落ち着くのを待ってる間に会社をやめると言い出して焦ったけど、大団円だ」
俺の出世もかかっているんだと言いながら私を見合いと言う名のこの場に駆り出した部長も含めて、みんなで私をだましていたんだ。
「あ……5年間の片思いって……」
ふと、ホテルまで乗って来たタクシーの運転手さんの話を思い出した。
確か、5年間の片思いを終わらせるとか言ってたけど、それってもしかして。