さよなら魔法使い
そしてジベルもその手を受け入れる。

強く逞しい彼に包まれてリースはただ今までの抑えていた感情を吐き出した。

彼もきっと同じだったのだろう、抱きしめる手に力を入れて彼女との距離を少しでも縮めようと懸命に包み込む。

「リース。」

耳元で響く声が体の緊張をほぐしていく。

彼の背中に回した手は決して離さないと言わんばかりに強く彼の服を掴んでいた。

掴んで、掴んで掴んで必死で引き寄せて、昂った気持ちが落ち着いていくと次第にその手が少しずつ解放されていく。

やがてリースはゆっくりと彼との距離を作り始めた。

もう泣きすぎて化粧も台無しだ。

こんな顔を見せたくないけど彼の顔を見たい。

「酷い顔だな。」

「うるさい。」

案の定いただいてしまった憎まれ口も今は懐かしく嬉しいものだ。

リースの涙をぬぐう彼の指も表情もすごく穏やかで優しかった。

「俺を待っていたか?」

その言葉にリースの目は大きく開いた。

一体どういう意味なのだろうか、そう考えたがジベルの目を見ていればそんな考えもどこかへ吹き飛んでしまう。

ああ、きっと彼なりの言葉なのだ。

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