それは気持ち次第
クリスマス商戦をどうにか乗り切り、今月の売上は前年比をゆうに越えた。臨時ボーナスが出るかもしれないという噂を嬉しく思いながらも、今度は年末年始の仕事に終われる。

「お疲れ様」

街の雰囲気はクリスマス一色の今夜。まだイヴだというに、世間のカップルはどうやら今夜が本番だと思っているようだ。

昼に外に出たときも寄り添って歩くカップルを多数目撃したが、夜になれば更にだろう。

「小野田君、今夜、予定ある?」

もしかしたら例の彼女と復縁しているかもしれないので、一応訊いてみるが、小野田君はがら空きです、といつもの無表情で答える。

そうか、がら空きか。

何故か寂しくなるような言い方をされた。

「じゃあさ、あそこのツリーの前で待ってるから、来て」

私が普段はしないような笑顔を作って言うと、小野田君は目をぱちくりとした。

「え?」

「待ち合わせ」

「一緒に出るんじゃ駄目なんですか?」

「それじゃ意味ないんだよ」

私はそれだけ言って、じゃ、とオフィスを後にした。

これからしようとしていることが意味があるかどうかはわからない。しかも、多分意味はない。けど、少しでも、と思っただけ。



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