それは気持ち次第
待つこと十分程度。小野田君は急いで来たようで、少し息を乱している。

すっかり寒くなった街はそれでも色とりどりの電飾やリースのお陰で何処か温かく感じられた。そして街中、寄り添って歩くカップル。楽しそうな笑い声。

ここ数年は一人のクリスマスを過ごしていたので、そんなものには目もくれなかったが、例え同僚でも誰かと待ち合わせするだけで気分は違うものだ。

「えっと、何か用事ですか?」

だというのに、目の前の同僚は雰囲気も色気もあったものじゃない質問を繰り出した。

「他にないのか」

思わず口をついて出てしまう。

「え、だって、呼び出したってことは、何か用事があるんですよね?」

「ええ、そうね。ありますね。ありますよ」

まあ、別に彼を呼び出した理由に甘いものがあるわけではない。確かに用事と言えば用事だ。

「メリークリスマス」

私は会話をぶった切って、大きな包みを渡した。うちの百貨店の包装紙なので、それこそ仕事を思い出し、色気も何もあったもんじゃないが。

小野田君はえ、と目をぱちくりとさせる。多分これは表情の少ない彼の癖で、見る度に面白く感じる。きっと、驚きを表現しているのだ。

「で、ご飯でも行こう」

私が言うと、小野田君は途端に何とも言えない表情になった。



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